コラム (業務用)

フィットネス業界情報
フィットネスクラブの退会を予測する為に重要な要因について【研究レポート要約】

2024.2.29

MATRIXマーケティング担当の桒谷です。
いままでジム向けのコラムでは、ジムを運営する際に重要なKPI(Key Performance Indicator)やその管理シートの配布等、退会率抑制の為の施策をご紹介してまいりました。

今回はポルトガルのフィットネスセンターから5209人の会員サンプルデータを抽出したうえで分析をしたレポートを要約してご紹介いたします。

【要約レポート】

Predicting Fitness Centre Dropout – PMC (nih.gov)

【過去コラム】

ジム経営で抑えるべきKPI各種 |
ジム選びの決め手 | 「20代男性/既婚者/有子家庭」の行動心理を客観的に分析 |

研究レポート概要

ポルトガルのフィットネスセンターから5209人の会員サンプルに関するデータを収集し、登録データ、支払い、頻度、年齢、性別、不参加日数、請求額、週平均訪問回数、総訪問回数、週当たり雇用訪問回数、登録更新回数、会員紹介回数、月登録総数、会員登録総時間などの行動変数を解析。

これまでの退会予測などの研究は、アンケート調査を主としており、対象者の心理的バイアスが加わりやすい状況であった。しかし、この研究ではアンケート調査を行わず、行動変数を用い予測を行っているため、より純度の高い予測が可能となった。

IHRSAによると、フィットネスクラブの主な退会理由は以下の6つ

  • 施設内の会員数の多さ(混雑)
  • 従業員への不満
  • スタッフの関心の低さ
  • 提供されるプログラムやアクティビティへの不満
  • アクセスの悪さ
  • 担当者からの反応の悪さ

会員の維持と退会は表裏一体であることを理解するべきである。

そして、会員維持はフィットネスクラブ存続の最も大きな要因であることが研究によって示されている。

会員維持率を高めることは、新規会員を獲得するために必要なマーケティングのコストを削減することにもつながる。

研究結果・考察

  • 退会につながる1番の要因は「不参加日数(利用頻度)」、2番目は「滞在月数」、3番目は「総請求金額」であった。
  • 滞在期間が長いほど退会確率が下がる
  • 「やる気低下」→「維持」に変えるためには、「性別」「年齢」などの個人の力で変えることができないものに働きかけるより、「来館頻度」「滞在時間」など、変動可能なものにアプローチをした方が、退会防止につながりやすい

これまで、感覚的に当然のように思われていたことをデータで証明した論文です。
施策のターゲットを考えるとき、「性別」や「年齢」で切り取ることも多いでしょう。
しかし、どうしたら来館頻度や滞在時間が増えるのかを前提にし、会員のニーズから施策を打つとよいのではないでしょうか。

※行動変数を用いた機械学習のアルゴリズムの精度に焦点が当たっているため、それぞれの項目に対する詳細な考察はあまりされていませんでした。

また「IHRSA Member Retention Report」では以下のようなデータもあります。
会員の9割がスタッフとのコミュニケーションを重視しているが、実際スタッフから何らかの対応を受けているのは43%のみ。

退会リスクの高い会員の50%近くはスタッフの対応で退会を回避できた可能性がある。
とされており、コミュニケーションの頻度を多くすることで退会率を下げる(来館頻度を上げる)ことができると言えるかもしれません。

※「IHRSA Member Retention Report」を元データとしてMATRIXにて作成した資料

まずはすでに退会したユーザーが、退会前にどのような傾向があったかを分析し、退会する会員の傾向をつかむことが重要です。(例:来館頻度が初月に比べて〇%下がった&滞在時間も減少傾向にある方が退会しやすい等)

来館頻度・滞在時間を向上させる方法

研究レポートについては以上となります。
日本では新規獲得のマーケティングには予算、リソースを投下しているものの、会員維持の施策に関してはそこまで注力できていないのではと感じます。
ここからはどのようにして来館頻度・滞在時間を増やすかについて、マシンメーカーとしてご提案いたします。

小規模リニューアル(マシン入れ替え)

最新マシン導入による快適な運動環境による顧客満足度向上、トレーニング効果・運動効率向上が見込めます。
SPRINT8など、一人で取り組んでも結果が出る独自プログラムがあれば、無人の店舗でも来館頻度の引き上げが可能になります。
既存顧客の来館頻度向上だけでなく、小規模のリニューアルでも打ち出し方によっては新規会員獲得の一手となります。

SPRINT8(スプリントエイト)プログラムとは

スプリント8は30秒の高負荷運動と90秒の低負荷リカバリーを8回繰り返します。20分の運動中、全力運動はたった4分。短時間で効率的なトレーニングが可能です。
1回20分のプログラムを週3回、それを8週間続けることで、成長ホルモン促進、脂肪燃焼、筋力増強に効果がみられることが実証されているプログラムです。

AIマシンの導入/アプリの活用

ユーザーとのコミュニケーションが退会率に大きく影響します。
EGYMを導入する事でスタッフがより本質的なコミュニケーションに時間を使うことができます。
AIマシンの導入で見込める効果は以下となります。

  • モチベーション向上
    トレーニング効果の可視化/記録共有による競争心や連帯感の醸成
    目標設定と達成感による継続意欲の向上
  • トレーニング効率向上
    自分に最適なトレーニング方法の発見/弱点克服や偏りのないトレーニング
    トレーニング時間の短縮/フォーム改善による怪我防止
  • 新たなニーズの掘り起こし
    データ分析に基づいたトレーニング提案(PT)/栄養指導やサプリメント提案
    イベントやキャンペーンの開催
  • コミュニケーションのクオリティ向上
    EGYM×MATRIXで取得したデータを元に、会員とのコミュニケーションを促進
    目標実現に向けた具体的なサポートが可能に。

など通常のマシンでは難しい様々な効果が期待できます。
AIフィットネスマシンのEGYMは世界中のクラブで様々な効果をもたらしています。
導入事例や費用対効果については別途お問い合わせください。

【EGYMカタログ】2023-2024_EGYM_Catalog.pdf (johnsonjapan.com)

まとめ

会員維持は、フィットネスクラブ存続の鍵です。
会員の利用頻度を上げ、満足度を高め、コミュニケーションを密にすることで退会を防ぎ、収益向上を実現することができます。
ジム運営における課題にお困りの方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
今後も引き続きジム開業や運営に関するお役立ち情報を発信してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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出典

Predicting Fitness Centre Dropout – PMC (nih.gov)

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