この記事では、フィットネスクラブ、ジムで設定されるKPI(重要業績評価指標)をそれぞれ解説していきます。
適切なKPIの設計/運用は、ジム経営におけるボトルネックを発見し、改善していくことに繋がります。
無料のKPI管理シートもご用意しましたのでカスタマイズしてお使いください。
「KPI管理シート」ダウンロードはこちら
本格的に運用していく場合は顧客管理システムなどのツールを利用することをお勧めします。
・会員管理システムやCRMを導入していない方
・これからジムの経営・運営を行う方
・ジムのKPIの設定方法、計算がわからない方
・KPI設計シートのテンプレートが欲しい方
に有効に使っていただける記事です。
あくまでも一般的なフィットネスジムで設定するべき一部のKPI指標となりますので、それぞれのジムの体制に合わせて変更する必要があります。
データに基づいた意思決定プロセスは事業の持続に非常に重要になりますので、無料で配布している「KPIシート」も活用し、定量化/可視化を行いましょう。
また、こちらの記事は以下の記事を参考にまとめています。
参照記事:https://www.exercise.com/grow/best-gym-kpi-metrics
フィットネスジムのKPI一覧
ジムやフィットネスクラブが行ったマーケティング施策の評価や意思決定を行う際に使用できる重要業績評価指標(KPI)をいくつか紹介します。
また、最後に無料配布のKPIシート入力方法を記載しますので、是非ご利用ください。
ジムの新規入会数・入会率
- メリット: 新規顧客の流入を把握し、マーケティング活動の効果を評価できます。これにより、どのマーケティング活動が最も効果的であるか、または改善が必要であるかを判断することができます。
- 計算式: (新規入会数 / 期間中の全訪問者数) × 100
新規入会数だけでなく、全体の訪問者数も把握することが重要です。また、新規入会者がどのマーケティング活動から来たのかを追跡することも重要です。これにより、各マーケティング活動のROIを計算することができます。
計算式: (新規入会数 / 期間中の全訪問者数) × 100
計算例: 期間中に新規入会した人数が100人、全訪問者数が500人だった場合、新規入会率は「(100人÷500人)×100=20%」です。
体験からの入会数・入会率
- メリット: 体験サービスの効果を評価し、改善点を見つけることができます。
- 計算式: (体験後に入会した人数 / 体験者数) × 100
体験サービスの品質とその後のフォローアップが重要です。体験者が入会しなかった理由を調査することも有用です。
計算式: (体験後に入会した人数 / 体験者数) × 100
計算例: 体験後に入会した人数が50人、体験者数が200人だった場合、体験→入会数は「(50人÷200人)×100=25%」です。
退会数・退会率
- メリット: 顧客満足度やサービスの品質を評価するための重要な指標です。
- 計算式: (期間中の退会者数 / 期間開始時点の会員数) × 100
退会者の理由を理解し、それに対応する改善策を考えることが重要です。
計算式: (期間中の退会者数 / 期間開始時点の会員数) × 100
計算例: 期間中の退会者数が30人、期間開始時点の会員数が1000人だった場合、退会率は「(30人÷1000人)×100=3%」です。
上記は全体での退会率の算出方法となっていますが、時期要因やユーザー層、キャンペーンの有無による退会率の違いも含めて確認していくことが必要です。
以下は一例です。
例:キャンペーン対象として2022年9月に入会した80人が、2023年9月までに50人退会し、30人になっていた。一方でキャンペーン適応外で2022年9月に入会した69人は、2023年9月までに30人しか退会しておらず、39人となった。
- 仮説1: キャンペーン対象者の退会率が高い
検証方法: キャンペーン対象者と非対象者の退会率を比較します。具体的には、キャンペーン対象者の退会率は50/80=62.5%、非対象者の退会率は30/69=43.5%となります。これらの数字から、キャンペーン対象者の方が退会率が高いことがわかります。
- 仮説2: キャンペーンは短期的な会員増加には効果的だが、長期的な会員維持には効果的でない
検証方法: キャンペーンの開始から終了までの会員数の変動を追跡します。また、キャンペーン終了後の会員数の変動も追跡します。これにより、キャンペーンの短期的な効果と長期的な効果を比較することができます。
- 仮説3: キャンペーン対象者は非対象者に比べてジムの利用頻度が低い
検証方法: キャンペーン対象者と非対象者のジムの利用頻度を比較します。具体的には、各会員のジム利用回数を追跡し、その平均値を計算します。これにより、キャンペーン対象者と非対象者のジム利用頻度を比較することができます。
以上のような仮説と検証を通じて、ジムのキャンペーンの効果を評価し、改善策を考えることができます。
会員継続率
- メリット: 顧客ロイヤルティとビジネスの持続可能性を評価できます。
- 計算式: (期間終了時点で継続中の会員数 / 期間開始時点の会員数) × 100
継続率を計測するためには、それぞれの月の入会者のトラッキングが必要になります。
そのために毎月退会者数を計測し、入力していく必要がありますので、他のKPIに比べて管理が煩雑になる可能性があります。
上記のように、1月に入会した会員を毎月追っていくと、キャンペーンのLTVに及ぼす効果計測も可能になります。(上記は無料配布KPIシートに入っています。)
こうしたデータを利用し、会員が継続している理由と、継続をやめた理由を理解することが重要です。
また、クラブメンバーが継続することにより様々なメリットが生まれます。
- 財務的な安定性を確保可能
会員が長期間ジムに通うことで、ジムは安定した収入を得ることができます。これは、ジムの運営における財務的な安定性を高め、新しいプログラムの開発や設備の改善などの投資を可能にします。
- 口コミによる新規会員獲得
満足している会員は、友人や家族にジムを推奨する可能性が高く、これにより新規会員の獲得が期待できます。
- ブランドの信用性向上
会員維持率が高いという事実は、ジムが提供するサービスの質の高さを示すものであり、これによりブランドの信頼性が向上します。
- 運営コストの削減
新規会員の獲得にはコストがかかりますが、既存の会員を維持することはそれほどコストがかからないため、会員維持率が高いジムは運営コストを削減できます。
計算式: (期間終了時点で継続中の会員数 / 期間開始時点の会員数) × 100
計算例: 2月時点で1月に入会し、継続中の会員数が33人、1月時点の入会者が40人だった場合、会員継続率は「(33人÷40人)×100=82.5%」です。
平均会員期間
- メリット: 顧客がどの程度長くサービスを利用しているかを把握できます。
- 計算式: 全会員の会員期間の合計 / 会員数
平均会員期間が短い場合、サービスの品質や顧客満足度を見直す必要があります。
計算式: 全会員の会員期間の合計 / 会員数
計算例: 全会員の会員期間の合計が2700ヶ月、会員数が300人だった場合、平均会員期間は「2700ヶ月÷300人=9ヶ月」です。
LTV(顧客生涯価値)
- メリット: 顧客一人当たりの収益性を評価し、マーケティング予算を計画するのに役立ちます。
- 計算式: 顧客平均単価 × 平均会員期間
※顧客平均単価と平均会員期間は別途算出する必要があります。
LTVを高めるためには、顧客満足度を高め、会員期間を延ばすことやクロスセル、アップセルで顧客単価を高めることが重要です。
フィットネスクラブの場合は会費が複数ある場合や付帯サービスによって顧客単価が変わってくるため、通常のLTV算出の計算式ではなく、顧客平均単価×平均会員期間で算出することがあります。
計算式: 顧客平均単価/月 × 平均会員期間
計算例: 顧客平均単価が9,500円、平均会員期間が10か月だった場合、LTVは「9,500×10か月=95,000円」です。
顧客獲得コスト
- メリット: 新規顧客を獲得するための投資効率を評価できます。
- 計算式: マーケティング費用 / 新規顧客数
高い顧客獲得コストは、マーケティング戦略の見直しが必要なサインかもしれません。
全体のマーケティング費用と全体の新規獲得数でみていくことも必要ですが、それぞれのマーケティング施策の効果測定の為に、それぞれの施策で確実に計測を行いましょう。
WEB広告というくくりでもリスティング広告、SNS広告など複数の媒体を運用している場合はそれぞれの顧客獲得単価(CPA)を算出しましょう。
目標CPAに関しては上記のLTVを参照し、設定する必要があります。
計算式: マーケティングコスト ÷ 顧客獲得数
計算例: リスティング広告に150,000円/月のコストを掛けていて、15人の新規会員を獲得した場合、顧客獲得単価は「150,000円 ÷ 15人=10,000円」です。
平方メートル当たりの収益
- メリット: 物件の効率的な利用を評価し、最適なレイアウトを計画するのに役立ちます。
- 計算式: 総収益 / 店舗面積
店舗のレイアウトや、スペースの最適な利用方法を考えることが重要です。
競合店の情報は取得が難しい為、比較は難しいです。
複数店舗出店している場合は自社の別店舗の平方メートル当たりの収益を算出することで、効率的に面積を活用できているかの比較が可能です。
計算式: 年間収益 ÷ ジムの面積(平方メートル)
計算例: 年間収益が5,000万円、ジムの面積が200平方メートルだった場合、平方メートル当たりの収益は「5,000万 ÷ 200=250,000円」 となります。
パーソナルトレーニングの受講率
- メリット: パーソナルトレーニングの人気と効果を評価できます。
- 計算式: パーソナルトレーニング受講者数 / 会員数
パーソナルトレーニングの品質と、それに対する料金設定が適切であるかを確認することが重要です。
計算式: パーソナル受講数 ÷ 会員数 × 100
計算例: 会員400名でパーソナル受講者が30人の場合「30 ÷ 400 ×100 = 7.5%」 となります。
付帯サービス/小売の売上
- メリット: 付帯サービスや商品の人気と収益性を評価できます。
- 計算式: 付帯サービスや商品の売上 / 総売上
付帯サービスや商品の品質と価格、そしてそれらのマーケティングが適切であるかを確認することが重要です。単純な計算ですが、どの付帯サービスが伸びていてアップセルを実現できているか、どの施策が売上に対するインパクトが大きいかというのは確実に確認するべきポイントとなっています。
計算式: 各付帯サービス売上 ÷ 全体売上 × 100
計算例: 水素水サービスの売上が200,000円で、全体の売上が5,000,000円の場合、「200,000 ÷ 5,000,000 × 100 =4% 」水素水の売上は全体の4%です。
フィットネスジムのKPIまとめ
これからジムを開業していく方や、初めて経営を行うという方は参考記事としてご活用ください。
KPI設計シートについてもこちらからダウンロードが可能です。
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(コンサルティングではないため、一緒に考えさせていただく前提となります。)
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