この記事で分かること
- ランニングを始めるときに気をつける怪我
- 怪我をする原因
- 怪我の予防にはどうすればよいか
ランニングは、室内でトレッドミルを使って行うことができたり、屋外でも行う事のできる素晴らしい運動で、ファンラン、短距離レース、マラソン、ウルトラマラソンなどがあります。また、1年を通して行えることも大きな魅力です。
ランニングを本格的に始めるにあたって、疲労の蓄積によって頻繁に起きる5つの怪我に注意しましょう。予防に重点を置いた賢いトレーニングで、1年中力強く走れるようになりましょう。
一般的なランニングの怪我
1.腸脛靭帯症候群(ITBS)
股関節の横から膝の外側にかけて痛みを感じたことはありませんか?
それは腸脛靭帯症候群の可能性があります。
腸脛靭帯(ITバンド)とは、骨盤の骨(後腸骨稜)の上部から脛骨(すねの骨)に向かって伸びる腱のことです。
ITBSは、ITバンドが太ももの骨である大腿骨と擦れるほど硬くなることで発症します。
下り坂や凸凹した路面でのトレーニングによる反復的な使い過ぎ、筋肉のアンバランス、股関節や膝のズレ、過剰な足のプロネーション(足が内側に倒れる)など、原因は様々です。
2.膝蓋腱炎
膝頭(膝蓋骨)の下の膝の前面に痛みを感じる場合は、膝蓋腱が炎症を起こしている可能性があります。膝蓋腱炎は、膝蓋骨と脛骨をつなぐ膝蓋腱の使い過ぎによる損傷です。膝蓋腱は膝を曲げたり伸ばしたりする筋肉を補助しています。
ランニングやジャンプ、特に硬い路面への着地は膝蓋腱にストレスを与え、腱の小さな断裂を引き起こします。これらの断裂が繰り返されることで増殖し、痛みや腫れを引き起こし、腱が弱くなっていきます。原因としては、急激な運動強度や走行距離の増加、特に下り坂でのランニング、大腿四頭筋、ハムストリングス、ITバンドの硬さ、股関節や膝のアライメントのずれなどが挙げられます。
3.膝蓋大腿部痛症候群
膝頭周辺の鈍痛や疼痛は、ランナー膝または膝蓋大腿部痛症候群の兆候です。ランニングで繰り返し酷使されると膝関節に負担がかかり、膝頭の下に炎症が起こります。膝頭の位置がずれて、膝を曲げるたびに膝窩溝の内側や外側に移動することで起こります。
大腿四頭筋が弱かったり、バランスが悪かったりすると、膝頭が溝の中で不適切に動くことがあります。膝蓋大腿部痛症候群を引き起こすその他の要因としては、急激な運動強度の増加、ハムストリングスの硬さ、股関節と膝関節のズレなどがあります。
4.シンスプリント(内側脛骨ストレス症候群)
すねの骨に沿った痛みは、シンスプリントの兆候です。すねまたは脛骨は、膝下から足首まで伸びています。ランニングによる強い衝撃と反復的なストレスは、すねの周りの筋肉、腱、骨組織に微小な断裂や炎症を引き起こします。
ヒールストライクはその大きな原因です。急な下り坂を走ると、下腿部に負担がかかります。一歩一歩、踵から大きく着地するとすねの筋肉である前脛骨筋は、文字通りブレーキをかけてスピードを落とします。シンスプリントは、トレーニング強度と走行距離の急増、不適切な足のバイオメカニクス、不適切なランニングテクニックによって引き起こされます。
5.アキレス腱炎
歩きにくかったり、かかとの後ろが痛かったりしませんか?これらはアキレス腱炎の症状です。アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)と踵の骨をつないでいます。 ふくらはぎが硬く可動域が狭いと、アキレス腱が引っ張られる感覚が強くなり、さらに踵の骨が足底筋膜から引き離される感覚が強くなります。アキレス腱炎は、トレーニング強度の急上昇、コンディションの悪い新米ランナー、不適切な足のバイオメカニクス、偏平足による不適切なランニングテクニックなどが引き金となって起こります。
ランニングの怪我予防
1.走る路面を変える
走る路面はそれぞれ、体にユニークな影響を与えます。しかし、ランニングは繰り返し行うスポーツである為、走る路面を変えることで、体が適応し、健康を維持できるようになります。トレッドミルが日課なら、たまにはトレイルやロードを走ってみましょう。普段は屋外の硬い路面を走っている人は、トレッドミルを使ったトレーニングを取り入れると、関節への負担が軽減され、非常に効果的です。
Matrixのブランドアンバサダーを務めるタガート・ヴァンエッテンは超長距離ランナーで、怪我を防ぐためにトレッドミル走を週1回の走行量に組み込むことの重要性を試行錯誤しながら学びました。週に120マイル以上走るようになると、アキレス腱炎につながる不調が出始めました。走行距離の75%をトレッドミルで、残りを外でのトレーニングに変更することで、彼はケガのない状態を維持できるようになりました。
2.ランニングシューズ
一番長いつま先の先とランニングシューズの先との間に、約半インチ(1cm強)のスペースがあることを確認してください。新しいシューズを買うときは、足が一番大きくなる1日の終わりにフィット感を試してください。
週に10マイル程度走る人は、9~12ヵ月ごとにシューズを買い替えることを検討してみましょう。シューズの衝撃吸収性能は、350マイル(約8.5km)使用するとそのほとんどが失われていきます。
3.ウォームアップ、クールダウン、ストレッチ
毎回のランニングは、適切なウォームアップから始めます。少なくとも5分かけて体を温めていきましょう。早歩きでも軽いジョギングでも。
血流を良くし、体温の上昇を感じるまで行いましょう。
続いて、特に足、足首、脚、腰をダイナミックにストレッチしましょう。ランニングの後はクールダウンを行います。体温を下げながら、再びゆっくりと体を伸ばします。最後はスタティックストレッチを行いましょう。
4.ダイナミックストレッチとスタティックストレッチ
ウォーミングアップを十分に行った後、ダイナミックストレッチを行いましょう。これはアクティブなストレッチで、筋肉や関節を可動域いっぱいに動かし、体を動かす準備をします。
クールダウンをした後は、スタティックストレッチを行いましょう。大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、ITバンド、ふくらはぎ、すね、足裏を重点的にストレッチします。リラックスして、それぞれの部位を少なくとも1分間ゆっくりとストレッチしましょう。スタティックストレッチは、筋肉を伸ばして柔軟性を高め、体の回復を早めます。
5.走行距離と勾配を徐々に増やしていく
トレーニングの負荷と傾斜に体が適応するのに十分な時間を与えましょう。走行距離は、週に10%以内で徐々に増やしていきましょう。体が慣れるまで、急な坂道をゆっくりと走るようにし、屋外と屋内のランニングを組み合わせてみましょう。トレッドミルでのトレーニングは、走る傾斜を正確にコントロールできる優れた方法です。トレッドミルでのランニングは関節にやさしく、また、トレッドミルのベルトは屋外の路面に比べて柔らかいので、体への衝撃が少なくすみます。
6.筋力トレーニング
筋力トレーニングで、大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、ITバンド、ふくらはぎ、すね、足を強化しましょう。スクワットとランジは、下半身のすべての筋肉を強化する優れたエクササイズです。正しいアライメントを保ち、常に優れたフォームで行うことを心がけましょう。
トレーニングの強度を徐々に上げていくように、筋力トレーニングの際の挙上重量も徐々に増やしていきましょう。筋肉のアンバランスを防ぐために、体幹(プランクやデッドバグなど)と上半身(チェストプレス、ロウ、バックエクステンションなど)も強化するようにしましょう。
まとめ
ウォームアップとダイナミックストレッチからなる理想的なランニング習慣を作る。
質の良いシューズを履き、ランニングの強度と走行距離を徐々に増やしてく。
ランニング後に、クールダウンとストレッチを行う。
ランニング中に痛みがある場合は、必ずかかりつけの医師かランニング専門の理学療法士に相談する。
ランニングの怪我予防のヒントを参考に、そして安全にトレーニングを楽しみましょう。
筆者について
オードリー・リー(Ph.D. マトリックス・マスタートレーナー、米国)
パフォーマンス・コーチ、スポーツ栄養コーチ。運動科学の博士号と栄養学の修士号を取得。AFFAグループ・フィットネス・インストラクター、スピニング・スター3・インストラクター、YA200時間などの資格を持つ。オードリーの情熱は、人々が自分自身の身体、心、精神をよりよくケアできるように鼓舞することである。彼女は、栄養とトレーニングを最適化するために体の合図に同調することで、アスリートが目標に到達できるよう指導している。
免責事項:このブログ記事は情報提供と教育の目的のみを目的としており、専門家の医療アドバイスを代替するものではありません。上記の情報は、いかなる疾患や医療状態の診断、治療、予防にも使用すべきではありません。健康や医療状態に関する質問がある場合は、医療提供者の助言を受けてください。Matrix Fitnessは、この記事で提供される推奨事項、意見、アドバイスによって生じた個人の怪我や損害について一切の責任を負いません。フィットネス機器の取扱説明書に含まれる安全注意事項を常に守ってください。